近年、食品の安全性が問題視されていますが、それは人間もペットも同じです。
2007年3月米国で、有害物質(メラミン)が混入したペットフードが原因で、多数の犬や猫が死亡しました。
その後、メラミンが混入したペットフードが、我が国で輸入販売されていたことが判明しました。これがきっかけで、2009年(平成21年)6月に「ペットフード安全法」が施行されました。
ところが、このペットフード安全法では、ペットフードの製造に使用した添加物の記載が必要ですが、原材料に含まれる添加物の表示までは義務付けていません。
つまりフードの原料になるチーズなどに酸化防止剤を使用していても表示義務がないのです。
あくまでも、製造段階において添加した場合のみの義務づけです。ある意味ザル法ですね。
こういった背景も含めて、ペットオーナーさんが自ら、安全安心な良いフードを見極める方法を本日はお伝えしたいと思います。
区分 | 定義 |
---|---|
ドライ | 製品水分10%程度以下のフードで加熱発泡処理された固形状のもの。水分含有量が13%以上ではカビが生えたりするので12%以下に保つ必要があり、安全性に配慮して多くは水分含有量10%以下になっている。 |
ソフトドライ | 製品水分25~35%程度のフードで、加熱発泡処理されている。 しっとりした食感を保つために湿潤調整剤を使用している。 |
セミモイスト | 製品水分25~35%程度のフードで、押し出し機などで製造され、発泡していないものを指す。しっとりした食感を保つために湿潤調整剤を使用している。 |
ウェット(缶詰) | 製品水分75%程度、品質保持のための殺菌工程を経て、缶詰に充填されたフード。 |
ウェット その他 | 製品水分75%程度、品質保持のための殺菌工程を経て、アルミトレーやレトルトパウチに充填されたフード。 |
以上のように大きく4種類に分類されます。
一般的にはドライフードか缶詰が安全性の面では優れています。セミモイストやソフトドライフードは半生の為に、防腐剤などが使用されているからです。
では、ドライフードが絶対安全かというと、そうでもないというのが現状です。ドライフードも安価な物から、専門店などでよく見かける高級な物まで様々です。そこでペットフードをグレードに分けて分類して見ていきたいと思います。
区分 | 定義 | 塩分濃度 |
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NBフード (ナショナルブランド) | 有名メーカーが作る一般的で安価なフード。 | 1%前後 |
プレミアムフード | 売価は高くなるが、原材料にこだわったフード。 | 0.3~0.5% |
スーパープレミアムフード | 原材料にこだわり、添加物も天然原料などを使用した安全性の高いフード。 | 0.3~0.5% |
トレーサビリティーフード | 追跡可能という意味があり、原材料の加工、流通販売などの情報を追う事ができるフード。 | メーカーによる |
オーガニックフード | 原材料になる鶏にも無農薬の飼料を与えるなど、原材料の残留農薬の問題までケアしたフード。もっとも安全性が高いフードといえる。 | 0.3~0.5% |
上記のようにグレード分けをしましたが、やはり安全性を求める為には、スーパープレミアムフード程度のレベルは必要となります。
ペットフードの値段は、原材料と製法にどのくらいコストが掛かっているかがダイレクトに売価に反映します。言葉は悪くなりますが、安かろう悪かろうがまかり通っています。もっと問題なのは、残念ながら売価が高いフードなのに、原材料や製法にコストをかけないフードもあります。
そこで、次に安全なフードの選び方として、原材料表示の正しい見方についてお話します。
骨なし鶏肉、乾燥鶏肉、鶏肉レバー、丸ごとニシン、骨なし七面鳥肉、乾燥七面鳥肉、七面鳥レバー、全卵、骨なしウォールアイ、丸ごとサーモン、鶏ハツ、鶏軟骨、乾燥ニシン、乾燥サーモン、鶏レバー油、赤レンズ豆、グリンピース、緑レンズ豆、日干しアルファルファ、ヤムイモ、えんどう豆繊維、ひよこ豆、カボチャ、バターナッツスクワッシュ、ホウレン草、ニンジン、レッドデリシャスアップル、バートレット梨、クランベリー、ブルーベリー、昆布、甘草、アンジェリカルート、コロハ、マリーゴールドフラワー、スイートフェンネル、ペパーミントリーフ、カモミール、タンポポ、サマーセイボリー、ローズマリー |
穀類(とうもろこし、米等)、肉類(チキン、ビーフ等)、油脂類(パーム油、大豆油、ひまわり油等)、大豆、コプラフレーク、植物性タンパク、タンパク加水分解物、キシロース、野菜類(ほうれん草、にんじん、トマト)、グルコサミン、ビタミン類(A、B1、B2、B6、B12、D3、E、コリン、ナイアシン、パントテン酸、葉酸)、ミネラル類(亜鉛、カリウム、カルシウム、クロライド、セレン、鉄、銅、ナトリウム、マンガン、ヨウ素、リン)、アミノ酸類(グリシン、システイン、メチオニン)、着色料(青2、赤102、黄4、黄5、二酸化チタン)、保存料(ソルビン酸K)、酸化防止剤(BHA、BHT) |
上記の表示例のフードがお勧めできない理由として、第一原料に炭水化物である穀物が表示されています。先程説明したように、犬も猫も炭水化物は必要ありません。ではなぜ、ペットフードに炭水化物が使用されるのかというと、コストを下げるためです。いくら家族同然のかわいいペットであっても、食事にお金をかけられる人と、そうでない人、様々なペットオーナーさんがいます。色々な立場の方に選んでもらえるフード作るためにコストを下げる事も必要です。
しかし、明らかに儲ける事だけを考えたコストカットをしているメーカーもあります。自分のニーズに合わせて、より確かな商品を見極める方法を身につけてください。
そして1番問題なのは、使用されている酸化防止剤の種類です。前ページのフードには、酸化防止剤の中でも使って欲しくないTOP3のうち、2つが使用されているからです。
エトキシキン | エトキシキンは、その猛毒性から現在では農薬として使用が禁止されていますが、犬の場合、75μg/gまで使用可能ということになっています。 このエトキシキンはダイオキシン系の化学物質で発がん性があり、米国がベトナム戦争で使った枯葉剤の酸化防止用として添加されました。 |
BHA ブチルヒドロアニソール | ガソリンの酸化防止のために開発されたもので、発がん性、歩行障害等、消火器疾患などが動物実験で確認され、環境ホルモンの疑いもあります。発がん性が確認されたため、当時の厚労省が使用を禁止しようとしましたが、欧米からの圧力によって、それを断念したいわくつきの食品添加物。 現在、油脂やバターなどの酸化防止剤として使用されています(1kgあたり0.20gまで)。 イギリスの小児病院などではBHAとBHTを食事から抜くように指導しているそうです。 |
BHT ジブチルヒドロキシトルエン | 石油の酸化防止のためにか開発されましたが、限定的にチューインガムや冷凍食品、バター、油脂などへの添加が認められています。発ガン性は確認されていないものの、変異原性(遺伝物質に損傷を与え突然変異を起こす性質)は認められており、さらに催奇形性(妊娠中に投与すると胎児に奇形を発生させる可能性があること)の疑いがあるために食品に対するジブチルヒドロキシトルエンを使用するのは問題があるのではないかという指摘があります。 食品以外には、化粧品、ボディーシャンプー、医薬品などにも使用されています。 |
以上の3点は原材料表示で必ずチェックして欲しい項目です。
注意して頂きたいのは、なかなかの値段がするフードにもこれらの酸化防止剤が使用されている事があるということです。
では、これらの酸化防止剤を使用していなければ安全なのか?
一概にそうとも言えませんが、酸化防止剤にも天然のビタミンEやCを使うフードがたくさんあります。そういったフードを選んであげることでリスクはだいぶへります。
次に、意外に知られていない原材料の動物性たんぱく質のからくりを説明します。
ご存知の方もいるかもしれませんが、ペット業界では4Dという言葉を耳にします。
4Dとは、下記のような意味があります。人間の食用として使う事ができない部位などをフードの製造コストを下げるために使います。
Dead(死んだ)
Dying(死にかけている)
Disabled(障害のある)
Diseased(病気の)
では4Dを避けるためにはどうすればいいのか?
原材料表示をしっかりチェックすれば良いのです。
先ほど説明した原材料名は、使用量の多い順に表示されています。第3原料までに表示されている原料にあいまいな記載がないかチェックしてください!
正しい表示 | チキン生肉、乾燥チキン、フレッシュチキン、鶏肉粉、オーガニックチキン |
曖昧な表示 | 肉類、家禽肉、肉骨粉、加工家禽副産物など |
上記の通り、あいまいな表示は正確に表示できない原料だからです。原材料名は、動物性たんぱく質も炭水化物も、具体的な名称で書かれているものが良いでしょう。
ペットフードの原材料には色々な表記の仕方があります。しかし、ペットオーナーの皆様が正しくフードのパッケージを読み取る事ができれば、かわいいペットを食の危険から守る事ができます。
ペットフードを購入する際には、面倒でもチェックする事をお勧めします。迷ったり、分からない事は専門店で聞きましょう。そのための専門店です。遠慮なくご相談ください!
ペットショップさんぽぽ店長
安全なフードに関しては大体わかりましたか?
では、販売する側からみる良いフードって何だと思いますか?
答えは、欠品しないフード。いろいろ儲けさせてくれるフードです。専門店でもそのお店のスタイルによって、何でこんなフードを勧めるんだろう?なんて事がたまぁ~にあります。色々大人の事情があるのでしょう。営業妨害になるので詳しくは書きません。
では専門店でプッシュしてきたフードに疑問を感じたらどうしますか?私なら、その店員にあなたの犬(猫)にはどのフードを食べさせているの?って聞きます。本当の事を答えるかは分かりませんが、明らかに動揺する場合や言葉を濁す場合は、プッシュされたフードはお店の経営方針で勧めています。
大切なのは、かわいいペットを守るために、ペットオーナーさん自らが、何が安全か見極めてあげることです。
私は仕事柄、色々なペットフードメーカーの営業と話しをします。いじわるかもしれませんが、良くカマをかけます。知っているのにわざと聞いてみたり、他社のメーカーのフードのダメな点を質問します。(どのメーカーも他社の悪いところは良く知っているのです。)
営業社員をよ~く見ると、その会社の製品が信頼できるかわかります。信頼できないメーカーの社員は、値段の話しかしません。知識もありません。今回話した酸化防止剤についても、BHTってなんですか?って普通に聞いてきます。
私のお店でも、安いフードから高価なフードまで色々陳列しています。お客様のニーズに答えるためです。
しかし、決して自分の犬に食べさせたくないフードは勧めません。そして勧めるのは、信頼できるメーカーや社員の方々と情報交換をしながら選んだフードです。お客様がかわいいペットのため品質の良いペットフードを探したいときに、ペットショップさんぽぽを思い出して頂けたら幸いです。
安全なフード |
○○○ ○○○ ○○○ 第1原料 第2 第3 |
第1原料の君、名前は?
鶏肉だよ!ちゃんとした鶏肉だよ。
第2、第3も僕の仲間さ!
おー!よいフードだね!
第1原料の君、名前は?
俺たちの名前は穀類さ!
いろいろ混ざっちまったから
自分のこともよくわからん。
第2、第3原料も俺の仲間さ!
いろんな混ざりものさ!
ダメだこりゃあ!でも安いんだよなあ~
おすすめできないフード |
○○○ ○○○ ○○○ 第1原料 第2 第3 |
安全なんて関係ねえ!
ちょっとだけなら大丈夫なんだ!
俺たちを使えば、お金がかからないぜ~
こんなものが使われているフードは使いたくないですね!
ちょっとなら大丈夫って本当に生きている動物のことを考えていますか?